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年頭所感

2022年は博論提出・海をまたいだ二度の引っ越し・結婚など、公私ともに変化の多い大変慌ただしい一年になりました。


ニューヘイブン

  • 博士課程最後の4ヶ月は、論文2報の投稿とレビュー対応、博論の執筆と公聴会開催、リスボンでのCOSYNE22への参加、残りの論文に向けた詰めの実験などを行いました(PhDの振り返りはこちら)。家のリースのタイミングの都合などで、卒業式には出ず4月末に帰国しました。
  • 一応22年出版になっている論文が2報出ましたが、それほど大きなリビジョンをしたわけでもなく、ほぼ21年内に終わっていた仕事だったので、実質的な22年の研究アウトプットは数日中にプレプリント公開予定の1報になりました。

横浜

  • 帰国後は2014年から付き合ってきた彼女と結婚し、4ヶ月間の専業主夫生活を行いました。行動制限が緩んできたのもあり、久々に旅行に出たり、思いつきで山に登ったり、学部時代以来の友人と旧交を温めたりできたのも良かったです。

ミュンヘン

8月末にミュンヘンに単身渡航し、ミュンヘン工科大でのポスドク生活をスタートさせました。就労許可の取得を大急ぎでやらないといけないなど、到着直後はバタバタしましたが、2週目以降は概ね落ち着いて生活することができました。

仕事のこと

  • 研究環境(米→独)・モデル生物(ハエ→魚)・テーマ(知覚→認知)のどれをとっても「仕切り直し」でのスタートということで、ここ数年と比べて体感での仕事のスピード感はどっと落ちました。仕事の中身としては、去年研究室から出たゼブラフィッシュの頭方位細胞についての論文に関連した行動実験を行っていました。
  • 実験の探索的な性質上、どうしても暗中模索で空振りを重ねている感は拭えないですが、論文のコアになる結果を一つ掘り当てるまでは手数を打たないと埒が明かないというのは仕方なく、また(裏を返せば)一つそういう結果を手に入れさえすれば、芋づる式的に目標が出てくるものだと思うので、今はそういうフェイズであると割り切って、コンスタントに出力を出せるような心身のケアを行っていくのが大事だと思いました。
  • 同時に、実験の試行回数を稼ぐために、不要な待ち時間を減らす意識的努力をする必要があると感じました。例えば、新しい行動実験セットアップのためのパーツの3Dプリントを人に頼んでいたら一往復一週間くらいかかっていたのが、自分で印刷のやり方を学んだら一日に複数デザインをプロトタイピングできるようになった、という事がありました。こういう「待ちぼうけ」が他にも潜んでいないか(特に装置作成や新しい動物のオーダーなど、ルーティン的でない仕事の部分で)、定期的に洗い出しをする心がけをしたいです。
  • また仕事は「仕切り直し」と書きましたが、ハエでの場所記憶のメカニズムについての知見であるとか、行動実験や装置のデザインなど、自分がこれまでに蓄積した知識や技術をうまく活かせた場面もあったのは嬉しかったです。
  • 12月には、夏〜秋にかけて準備していたポスドクのフェローシップの一つへの採択の通知をいただくことができました。まだ全く中身は伴っていないですが、研究計画そのものが高い評価を頂くことができたのは幸先が良く嬉しいです。

生活のこと

  • ヨーロッパに住むのは初めてですが、流石に先進国の大都市ということもあり特に問題なく快適な生活を送ることができています。
  • PhDの振り返りに、ワークライフバランスに触れて「世界と自分をもっと多様なやり方で再接続」云々ということを書いていましたが、やはり出不精なルーティンに落ち着きつつあります。一応目論見通りコンサートやオペラには定期的に足を運べていますが、2023年は「仕事が落ち着いてから…」といった言い訳をせず人と関わる趣味をより積極的に取り上げて行きたいです。
    • 関係ないですが年末は急に思い立って10年以上ぶりに編み物をしていました。編み物は研究と違って手を動かしたぶんが即座に目に見える成果へと変わっていくので精神衛生にいいです。3週間で2メートル近いマフラーが一本編み上がりました。
  • それと、ワークライフバランス以前に体調を崩すなどしてワークもライフもできていない時間が多かった(コロナ罹患、群発頭痛など)ので、こちらも気をつけていきたいです。

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